家賃保証と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
家賃の保証に決まっているだろう、と思うのは普通です。
ですが、家賃保証には3つの意味があります。私たちが扱う家賃保証は家賃債務保証ともいいます。3つの家賃保証について解説いたします。
家賃保証の3つの意味
保証業界では家賃保証のことは当然のように遅れた家賃の保証のことを指します。しかし、不動産業界には滞納家賃の保証という意味とは別に「家賃保証」という言葉あります。
- 滞納賃料の保証
- サブリース
- 空室補償
この3つの家賃保証の意味をそれぞれ解説いたします。
家賃保証1.滞納賃料の保証
滞納賃料の保証というのは主に入居者側のサービスです。
入居者が賃貸物件を借りる際には、不動産屋と賃貸借契約を結びます。このときに連帯保証人を入れるのが普通ですが、2000年頃からは連帯保証人を使わずに保証会社を入れるということが増えてきました。
この保証会社が入ることで、入居者が家賃を支払い忘れたとしても保証会社が一時的に立替払いをすることで家主には毎月決まったお金が入ります。そういった意味では家主にとても魅力的なサービスです。
家賃が遅れることなく入ってくる、という意味で家賃保証と言います。
なお、家賃保証には別の呼び方もあり、
- 家賃保証
- 賃貸保証
- 賃借人保証
- 賃貸借保証
- 賃料保証
- 滞納賃料保証
などともいいますが、すべて同じ意味です。入居者にすれば保証会社が支払い能力を保証してくれるので賃貸借契約における家主側の審査に通りやすくなることが多く、契約が迅速に、スムーズに進むというメリットがあります。
さらに、保証会社を使うことで敷金や礼金が安く抑えられているという大きなメリットもあります。とはいえ、今や敷金・礼金が安いのは当たり前になりつつあるので、入居者には見えづらい、わかりづらいメリットなのですが。


家賃保証会社はすでに社会インフラといえます
なお、家賃の遅れが起きない場合には保証会社を利用する必要はありませんが、入居時には家賃の支払いにまったく問題がなくとも数年経つと結婚や出産などの生活スタイルの変化、失業、病気、ケガなどで状況が大きく変わることがあります。
近年では連帯保証人が連帯保証してくれないケースも多く、家主としてもリスクヘッジのために保証会社を必須にしているということもよくあります。賃貸借契約の8割ちかくが家賃保証会社を利用しているという統計データもあるくらいです。


2020年の民法改正で連帯保証人の極度額が設定されるとか話題になっていますね。その意味で家賃保証会社は今、波に乗っています。
家賃保証2.サブリース
これは不動産投資で使われる用語です。これも家賃保証といいますが、ほかの言葉と使い分ける意味もあり、サブリースといったり、一括借り上げといったりします。
サブリースは投資物件で毎月の収入を固定することができるので、ローンを支払いながらマンションを経営する家主にとってはキャッシュフローを安定させることができるので非常に強力なサービスです。


サブリースはマンション1棟まるごとというイメージが強いですが、1部屋でもサブリースできますよ
たとえば、1部屋10万円の部屋があります。家主はこの部屋に入居者がつけば毎月10万円入ってきますが、入居者がつかなければ空室の間は収入ゼロです。
そこで、このサブリースの出番です。1部屋10万円の部屋を不動産屋に9万円で貸します。すると入居者が不動産屋なので毎月、必ず9万円の収入があります。
これだと毎月1万円損をする、と思うかもしれませんが、長期的に見ると得をすることもよくあります。
家主の自主管理の場合 | 10万円 × 10ヶ月 = 100万円 |
---|---|
サブリースを利用した場合 | 9万円 × 12ヶ月 = 108万円 |
上記のように、1年の間に2ヶ月空室があった場合には家主の自主管理よりもサブリースを利用したほうが得です。
ただし、サブリースの場合には毎月9万円で固定なので最高でも最低でも108万円しか入りません。一方、家主の自主管理の場合には最低では0円ですが最高では120万円入ります。
そのため、空室になりづらい立地だったり、空室があってもすぐに埋まるような営業活動ができる場合にはサブリースをするよりも家主の自主管理のほうが得です。


サブリースの場合には手数料もかかるので注意
では、空室になりづらい場合ではサブリースを利用しないのかといえば、そうでもありません。特にサラリーマン大家なんかは平日の日中は会社務めです。家主業とは並行してできませんので管理をすべて不動産屋に丸投げするという意味でサブリースを利用するということもあります。


サブリースを活用した不動産投資の最大の利点は、持ち出しの資金がなくとも不動産経営ができること。不動産屋から物件を買って、そのままサブリースをするとキャッシュフローが安定します。毎月収益が出た上に最終的にはマンションを売却することで大きな利益が見込めます。


えー、大手不動産会社が問題になってるじゃない?


あれは売り方が強引すぎた上に、不動産会社が利益を見込みすぎたから家主が泣いたという話です!サブリースの仕組みが悪いわけではなく、サブリースを利用して無理に稼ごうとした結果、知識のない家主が食い物にされて世間で問題になっているだけです。


まー、でも、元手なしで不動産投資ができるのは魅力かも


連絡くれれば悪徳でない不動産屋紹介できます!
家賃保証3.空室補償
空室補償はサブリースに似ていますので、同じだと思っている方もいるようですが、明確に違うサービスです。
サブリースは家主の部屋を不動産屋が借りることで空室を埋めていますが、空室補償はマンションの入居率を最初に決めて、その分を最低保証するサービスです。
たとえば、入居率90%と決めたとします。10部屋あるマンションで1部屋10万円だとして、1月の最高額は10万円×10部屋で100万円です。仮に10部屋のうち8部屋しか入居者がいなかったとしても、90%の空室補償をしていますので10万円×10部屋×90%で90万円は家主に支払われます。
もし空室補償をしていなければ10万円×8部屋で80万円だったわけですから、家主としては10万円助かった計算です。
やっぱり、サブリースと思った方は次の表を見てください。
1部屋9万円のサブリース | 最高でも最低でも9万円×10万円=90万円 |
---|---|
90%の空室補償 | 最高では10万円×10部屋=100万円。 最低でも10万円×10部屋×90%=90万円 |
見てわかるように、サブリースの場合には不動産屋と9万円で契約していますので、毎月必ず9万円入りますが、9万円固定なのでそれ以上は望めません。
一方、空室補償の場合には、90%の補償がありますのでどんなに少なくとも90万円は確保できますが、入居率が上がれば上限100万円まで受け取れます。
どちらも空室があったときの補填という意味では同じサービスですが、金銭面でどちらが有利かといえば空室補償かもしれません。


ただし、手数料がかかる!
家賃保証まとめ
このように家賃保証には3つありますが、それぞれ特徴が違います。最後にまとめておきます。
滞納賃料の保証
- 入居者を保証する
- 入居者が遅れた家賃を保証会社が立て替える
- 空室は関係ない
サブリース
- 不動産屋が部屋を借りて、誰かに貸す(転貸)
- 空室がなくなり、毎月固定額が入る
空室補償
- 入居のない部屋の家賃を補填
- 空室がない場合、利益が大きい
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