部屋を借りるときには賃貸借契約を結びます。そして、賃貸借契約の更新は2年に1度、家賃1か月分がかかります。
ここまでは把握しているけれど、家賃保証会社と契約した場合には毎年、更新料がかかるというのは意外に浸透していません。
契約時に聞いたのかもしれないけれど家賃保証会社なんて利用していること自体忘れていたし、契約はしているけど家賃は遅れてないし更新料は支払いたくない!
そんな気持ち分かります。
では、家賃保証会社の更新料を無視したらどうなるのでしょうか?更新料を支払わずに済む方法も合わせてご紹介いたします。
家賃保証会社の更新料とは
家賃保証会社のビジネスモデルに関わりますが、基本的に家賃保証会社の収入源は契約締結時の保証料と毎年発生する更新料しかありません。
企業によっては更新料は毎年ではなく、毎月少額を取ったり、信販系家賃保証会社では自社のカードを作らせて更新手数料を取ったり、家賃を家賃保証会社経由のクレジットカード払いにして手数料を取ったりしていますが、原則は家賃保証会社の収益源は最初の保証料と更新料だけとお考えください。
そして、保証契約書には記載がありますが、入居者が覚えていないのが家賃保証会社の更新料は毎年発生するということ。賃貸借契約の更新は2年に1度なので忘れがちです。
では、家賃保証会社の更新料とは何なのか?更新とは何をするのか?
実は、家賃保証会社の更新料とは、ただの収益源です。賃貸借契約のように2年に1回契約書を書き直したり、書類が送られてきたりはしません。入居者の立場でいえば、最初の契約が勝手に更新されていて、お金だけ払っていることになります。
だから最初の契約の時点では信用がないかもしれないから家賃保証会社を使うというのは理解されても、更新は必要ない、家賃保証会社は契約はしているが利用していないと思われている入居者も多いと思います。
はっきり言って、家賃が一切遅れない入居者にとって家賃保証会社の存在自体が不要です。
なぜ家賃保証会社との契約が必要なのか?
ですが、家賃保証会社との契約が無駄というのは入居者側の意見です。
家主側はまったく逆の意見を持っていることが多く、連帯保証人なしで家賃保証会社もなしとなると家賃滞納リスク、夜逃げリスク、原状回復費用リスクなどがありますので心配です。
では連帯保証人を付ければ家賃保証会社が不要かというとそうでもなく、今は連帯保証人が支払いをしない時代です。消費者保護が進み、民法改正もありますのでますます消費者の立場が強くなり、家主の立場が弱くなります。
そんな時代に連帯保証人がいるから、という理由だけでは安心できません。
そこで、どんな属性の入居者であっても家賃保証会社を使うのが常識となっています。2019年の段階で賃貸物件の7割~8割は家賃保証会社を利用しているという数字(2019年6月第21回賃貸住宅市場景況感調査)もあります。
非常に見えづらい箇所ではありますが、家賃保証会社を利用することで敷金や礼金が安く抑えられているという事実もありますので、本当は使っていないつもりで家賃保証会社を使っていることは多いのが本当です。
更新料の安い家賃保証会社、高い家賃保証会社
本心では払いたくない家賃保証会社の更新料ですが、どうせ支払うなら安い方が良いと考えるのは当然です。
更新料というやや不明確な名目ですが、各社料金に違いがあります。よく言われるのは毎年1万円ですが、高いところでは家賃の30%を取る会社や賃貸借契約と同様、家賃1か月分の更新料を取る家賃保証会社も存在します。
よく言われる安い家賃保証会社は日本セーフティー、全保連、Casaなどで、1万円で更新できます。逆に更新料が高いことで有名なのはフォーシーズです。なんと家賃の1か月分!?
ですが、家賃1か月分は基本料だそうで、家賃延滞がない普通の人は1万円で更新できるそうです。このあたりの割引はわかりづらいです。
料金については家賃保証会社の更新料はいくら?実は保証契約だけ解約できる!?を参考にしてみてください。


家賃保証会社の更新料を無視したら?
家賃保証会社の更新料は契約ごとなので当然支払わなければなりません。
1万円とはいえ、入居者にとっては支払わずにすむなら払いたくないのは本心でしょう。
では更新料請求を無視したらどうなるか?
実は家賃保証会社の社員は諦めずに請求を続けてきます。そして、引越しのときに不利になったり、信用情報に傷がつくという可能性もでてきます。
例外ケースだとは思いますが、家賃保証会社の更新料を滞納したら裁判されたという話も聞きますのでご用心!
請求がいつまでも続く
先にも述べましたが、家賃保証会社にとって更新料は非常に重要な収益源です。
例えばですが、大手家賃保証会社Casaの2018年売上は82億円ですが、最初の保証料は45億円、更新料は36億円です。4割くらいは更新料収入で稼いでいます。
こうなると家賃保証会社の回収担当も数字を追いかけるために必死です。家賃と同様にしつこく、いつまでも請求が続きます。
もめる時間を考えると1万円くらいなら支払った方がよいようにも思えます。


そもそも契約なので払ってね
引越しのときに不利になる
家賃保証会社の更新料を無視して支払いをしないと2つの意味で不利になる可能性があります。
1つは家賃保証会社のデータベースに登録されてしまうことです。これは家賃保証会社がどこの団体に所属しているかによりますが、全国賃貸保証業協会(LICC)に所属している場合には未納情報を共有しています。
そして、家賃保証会社は自社の顧客情報の履歴を参照して審査をしますので、過去に未払いがあるということが理由で審査落ちしてしまい、LICC所属の家賃保証会社や特定の家賃保証会社ではお断りになる可能性があります。


2つ目は信販系家賃保証会社を使っていた場合です。信販系家賃保証会社はクレジットカードで家賃を支払います。そして、カードの更新もカード払いで対応します。勝手に引き落されるので無視はしづらくはありますが、残高不足や口座解約などが原因で滞納をしてしまうと信販系らしく、信用情報に事故情報を残します。
1回の滞納ですぐにブラックリストに載るわけではありませんが、何回も累積するとブラックリストに載る可能性があります。
では、何回滞納したらブラックリストというのかですが、明確な回数は分かりません。私が業界に詳しい人に聞いたところ、3回滞納でブラックリスト入りの可能性がある、というような言い方をされました。ただし、本当に目安です。


1つ目は違う家賃保証会社を使うことで審査に通る可能性は十分にありますし、2つ目は信販系家賃保証会社を使わなければ回避可能です。


とはいえ、更新料は払ってね
更新料の未納で裁判になる!?
多くの家賃保証会社で更新料は1万円です。そのため、1万円くらい無視したところでそんなに必死に回収に来ないだろうと思っている方も多いはず。
ですが、家賃保証会社はガンガン回収行動に出てきます。しかし、さすがに裁判までは・・・と思っていたら実際に更新料を払っていないことを理由に裁判を起こされていた人がいます。
裁判を起こされるのは主に2つのパターン。
- 家賃の滞納があって更新料も未納の場合
- 本当に更新料だけの未納
1つ目は分かります。家賃の未納があるなら支払い訴訟を行して、同時に他の請求分も一緒に請求するというのは普通です。
なぜ建物明渡訴訟ではなく支払い訴訟かというと、過去に1か月分、2か月分だけ遅れてその後の家賃が遅れていない場合には「家賃を支払う意思がある」と判断されて建物明け渡しが認められないからです。
代わりに支払い訴訟をして給料や財産を差し押さえます。
2つ目の本当に更新料だけの未納で裁判を起こされるケースは驚きですが、実際にあったケースです。
家賃保証会社の立場からしても完全に赤字ですので、本当に悪質なケースに裁判をしているのだと思います。少なくとも更新料を1回遅れた、2回遅れたくらいでは裁判はありえません。
家賃保証会社にとって更新料は収益なので採算度外視は普通しません。ありえるのは本当に悪質で家賃とは別件で追い出すために訴訟している、更新料の未納回数が多すぎるので遅延損害金や別の項目で回収する見込みがある、本当に嫌がらせなどの可能性があります。


なんにせよ契約通り払えば済む話です
家賃保証会社の更新料を支払わないためには
では、本当に合法的に家賃保証会社の更新料を支払わないためにはどうするかを考えていきましょう。
これは、もう、3つしかありません。
- 家賃保証会社を使わない
- 引っ越す
- 家主と話す
そもそも家賃保証会社と契約しない
最初の段階で家賃保証会社を使わないのだから更新を気にする必要がありません。
ただし、賃貸物件の7割~8割は家賃保証会社を利用するようになっている賃貸業界を考えると住みたい物件に住めなくなる可能性はあります。
考えようによっては1割~2割は家賃保証会社なしで契約できるわけなので、無理ではない数字です。
特に長く住むなら毎年1万円というのは結構な金額になるかもしれません。妥当な考え方だと思います。
更新の前に引っ越す
更新が嫌なら引っ越せばいいじゃない!
ポイントは更新前に引っ越すことです。契約は1年間ですので、4月1日に契約したら3月31日には契約解約完了でなければなりません。賃貸借契約の解約は1ヶ月前予告が普通ですから(2ヶ月前予告もあります)、2月28日には解約申請をしておかないと家賃保証会社の更新料は発生します。
引越しにお金がかかるから嫌だ、という方も当然いるでしょうが、実は2年に1回引越しをするというのは計算してみると意外にありな選択です。
2年に1回というのは賃貸借契約の更新の時期です。賃貸借契約の更新料は多くは家賃1か月分ですから、更新月には毎月の家賃のほかに、賃貸借契約の更新料、保証契約の更新料、火災保険、事務手数料などがかかります。だいたい家賃3か月分です。
引越し費用がいくらなのか、引越しの際の初期費用がいくらなのかで変わってきますが、どうせなら更新前に引っ越した方がいろんな面で安く済みます。
これは家賃保証会社社員が本気で何でも答えたらの家賃保証会社の更新料を無視せず、合法的に払わない方法という記事が詳しいです。


家主や管理会社と交渉する
裏技ですが、諸刃の剣です。
家賃保証会社を利用すると決めているのは誰か次第なのですが、一般に家賃保証会社を使うことを決めているのは
- 家主
- 管理会社
- 仲介会社
のいずれかです。
家主が家賃保証会社を使うと言っているのであれば、家主が納得すれば家賃保証会社を使わない方向で交渉できる可能性があります。
管理会社が使うと言っている場合、会社のルールなので変更は受け付けませんと断られる可能性があります。
仲介会社が使うと言っている場合、自分たちは仲介しているだけなのでどっちでもいいですと言う場合と家主に対して家賃保証会社を使っていると話していないので家主には話さないでくれなどとわけのわからないことを言うかのどちらかが多い気がします。
順番でいえば次のようになると思います。
- 仲介会社(部屋を借りる際に相談に行った不動産屋)に電話して聞いてみる
- 管理会社(仲介会社ではない不動産会社。賃貸借契約書に会社名が書いてある)に電話して聞いてみる
- 家主に聞いてみる
家主の連絡先がわからないばあいには管理会社が必ず知っています。ただし、家賃保証会社を外すためには家賃が遅れたことがない、近隣トラブルがないなどの信用が必須ですし、敷金を追加で入れたり、連帯保証人を付けたりと別の交渉材料が必要です。
そして、交渉材料を用意したとしても家主にも不動産屋にも迷惑な交渉をしてくる奴だ、と思われる可能性は高く、強気な不動産屋からは面倒なので部屋を出てくれと言われてしまうということもありえます。


最初に結んだ契約を覆すのはそれだけ大変ということです
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