部屋を借りる際に連帯保証人を用意する、家賃保証会社と契約するという方は多いはず。
しかし、家賃保証会社の審査には通らない人や初期費用を抑えたい人は家賃保証会社ではなく連帯保証人だけで部屋を借りようとします。
では家賃保証会社とは契約せずに、連帯保証人を用意できない人は部屋を借りられないかというとそうではなく、保証人代行サービスというものを利用される人もいます。
保証人代行サービスは以前からありますが、本当に大丈夫なのか?違法ではないのかという疑問がたびたびでます。
家賃保証会社とは何が違うのかもまとめて解説いたします。
家賃保証会社と保証人代行会社の違い
まずは家賃保証会社と保証人代行会社の違いです。
両者はまったく違う業態ですが、賃貸借契約の保証という点では一致していますので混合されている人がいるのも事実です。
家賃保証会社は「家賃の支払い能力」を保証しているのに対して、保証人代行会社は「そもそもの連帯保証人」を紹介する会社です。
家賃保証会社の役目
家賃保証会社は賃貸借契約締結の際に、入居者の家賃支払い能力を保証します。
だから家賃保証会社の審査では収入と家賃、勤務形態(正社員かどうか)、貯金などを見て入居者がその部屋の家賃を支払い続けるかをチェックします。
家賃保証会社の基準は各社独自なので、単純な比較はできませんが、厳しく見ている会社は「本当に払えるか」を確認しますし、緩く見ている会社は「初期費用さえ払えれば保証する」というところもあります。
部屋を貸すには家賃保証会社の審査とは別に家主の審査(管理会社の審査)がありますので、家主が貸したいのに家賃保証会社の審査に落ちてしまって部屋を貸せないとなると空室が出てしまうので基本スタンスは「部屋を借りたい人がいたら保証する」のが家賃保証会社です。
これが家賃保証会社のサービスでよく謳われる「賃貸借契約の締結をスムーズにする」です。
家賃の支払い能力を保証した結果として、家賃滞納があった際には家賃保証会社が一時的に立替払いをします。
保証人代行会社の役目
保証人代行会社は賃貸借契約の際に必要になる連帯保証人を紹介します。
普通、連帯保証人には親か兄弟がなります。親族がいない場合には知人がなることもありますが少数はです。勤務先の上司がなることもありますが、レアケースです。
そういう連帯保証人を用意できない場合や部屋を新しく借りることを誰にも知られたくないという人は手っ取り早くお金を払って連帯保証人を紹介して欲しいと思います。そういう人のためのサービスです。
紹介された連帯保証人は、書類も用意してくれますし、電話がかかってきても一応の対応はしてくれます。
しかし、重要な点は自分とはまったく関係がないのに、債務を請け負わなければならない人という点で非常に特異です。
普通家賃は遅れません。しかし、家賃が遅れてしまったら当然連帯保証人に支払い義務が生じます。自分とはまったく関係がないのに家賃を支払ってくれるのかというと疑問が残ります。
連帯保証人の役目
家賃保証会社と連帯保証人の違いについては、家賃保証会社と保証人と連帯保証人の違い【決定版】に詳しく書いていますが、家賃保証会社は家賃の一時立替払いを行うのに対し、連帯保証人には家賃の支払い義務があるという点で大きく違います。
家賃保証会社は家賃を立て替えますので家主にはお金が入りますが、その後、入居者に請求します。
連帯保証人は家賃の支払い義務があるので、連帯保証人が支払った時点で解決します。その後、入居者と連帯保証人でどのようなやり取りをするのかは家主にも家賃保証会社にも関係がありません。
保証人代行会社は利用にはリスクを伴う
では、保証人代行会社を利用するのは違法かというと、違法ではありません。
しかし、保証人代行会社を利用するということは、見ず知らずの他人に連帯保証人になってもらうということ。普通に考えて多少のお金を貰っても連帯保証人になりたがる人はいません。
多少のお金でも連帯保証人になってくれる人は
- 一時的にでもお金が入ればよいと思うほどお金に困っている人
- いざ請求されても支払うつもりがない人(逃げる前提で連帯保証人になる人)
- 本当にボランティア精神がある人
のいずれかです。
念押しで言いますが、連帯保証人になりたがる人は絶対にいませんし、なってくれる人は非常に稀です。
その意味で、保証人代行会社が紹介してくれる連帯保証人が本当に「連帯保証」してくれるのであれば、それは素晴らしいサービスです。
連帯保証人になるということは、入居者が家賃を意図的に支払わなくても、文句を言わずに家賃を支払うということです。
保証人代行会社の利用によるトラブル
保証人代行会社を利用してどのようなリスクがあるのか、どのようなトラブルに巻き込まれたのか。その一部をご紹介します。
- 連帯保証人の相保証(相互保証)が条件で解約もできない
- 入金したのに連帯保証人を紹介してもらえない
- 紹介された連帯保証人は実在しない
- 申し込みキャンセル料が高額
- 解約したのに請求が続く
連帯保証人の相保証が条件で解約もできない
お金を払えば連帯保証人を紹介してもらえますが、紹介する条件として他の誰かの連帯保証人なることという保証人代行会社があります。
誰かの連帯保証人になるということは、その誰かが家賃を支払わなかった場合には自分が文句を言わずに支払う必要があります。
これは非常に大きなリスクです。
連帯保証人は基本的に逃げられませんので、保証している相手が引越しをするまで、何年でも何十年でも支払いを続けなければいけない可能性があります。
※債務があまりに大きい場合には自己破産という可能性もありますが、自己破産は原則的にその時点の債務に対して免除されるというものです。自己破産の後に背負った債務には支払い義務があります。
連帯保証人を紹介してもらえない
お金を支払った後に連帯保証人を紹介してもらうというのが一般的な保証人代行会社ですが、お金を支払ったが紹介してもらえなかったという事例が実際にあります。
完全に詐欺ですが、電話だけで契約して振込みをするということはそういうリスクがあることを覚悟してください。
中には事務所まで来てもらって連帯保証人を紹介するというところもあるようですが、事務所があるから安心、とはいえません。
紹介された連帯保証人は実在しない
連帯保証人を紹介してもらい、書類も用意してもらったが、その連帯保証人は実在しないということもあります。
電話による連帯保証人確認や身分証などの書類も用意してもらっていますので、一度は家主の審査(管理会社の審査)には通っていますが、賃貸借契約の更新や緊急時の連絡などの際に連帯保証人が実在しないことがわかると非常に面倒です。
最低でも契約を続けるには他の連帯保証人を見つける必要がありますし、身分証などの書類を偽造していたことになりますので退去を迫られることもあります。
契約時に騙していたということは管理会社側の履歴にも残ることで今後部屋を借りづらくなるということもありえます。
もし、家賃保証会社を利用していると更に厄介で、家賃保証会社の履歴に悪質な入居者として情報が残ると、家賃保証会社同士の情報共有により今後、部屋を借りられなくなるという可能性もあります。
実在しない人を紹介した保証人代行会社が悪いともいえますが、家主・管理会社・家賃保証会社には関係がないことです。
申し込みキャンセル料が高額
保証人代行会社との契約を考えたが、怪しいので申し込みをキャンセルしたら高額なキャンセル料を請求されたというケースもあります。
このキャンセル料を支払う義務があるかは微妙なところ(契約を締結していないので)ですが、保証人代行会社を利用しなければならない人は何かしら特別な事情がある方が多いので黙って支払うということもあるようです。
解約したのに請求が止まらない
保証人代行会社の利用に更新があるというところもあります。家賃保証会社の更新料と感覚は似ていますが、大きく違うのは、保証人を紹介するというシステムに入会しているので部屋を解約しても年会費がかかるというものです。
よくわからない理屈ですが、利用していないのに支払いが発生し続けるというのは今後のことを考えてもリスクしかありません。
連帯保証人を頼むという意味
部屋を借りる際に連帯保証人を頼むということは、自分が家賃を払わなかったら連帯保証人に支払ってもらう、ということです。
家賃が5万円だとしても1年間で60万円、5年で300万円です。家賃は住んでいる間、発生し続けますので、その負担を連帯保証人に求めるということです。
連帯保証人というのは非常に重い責任を負いますので安易になってはいけませんし、可能であるなら誰にもお願いしない方がお互いのためです。
それでも連帯保証人になってくれるのは親族間で信頼関係があるためです。
保証人代行会社を利用することが悪いわけではありませんが、連帯保証人をお願いするという意味を今一度お考えください。
保証人を用意できないけど部屋を借りたい人に
では、連帯保証人を用意できない人は部屋を借りられないのか、というとそんなことはありません。
一昔前は水商売、ホスト、風俗関係の人は受け付けないという不動産会社もありましたが、今では逆に普通は貸してくれない人に貸す物件を紹介してくれる不動産会社も出てきています。
過去に家賃保証会社を利用していて、滞納や夜逃げをしたことがあるので今後は利用できないと思われている方もいますが、利用できないのは過去に遅れたことがある家賃保証会社、またはその関連会社です。家賃保証会社間でも情報共有をしているのは一部の会社だけです。


とはいえ、過去の延滞分は清算してください。
自己破産や任意整理など、いわゆる債務整理を行ったのでクレジットカードも作れない、自分はブラックリストに載っているので部屋を借りられないと思っている人は若干の勘違いをされています。
ブラックリストで部屋を借りられないのは信販系家賃保証会社を利用した場合です。不動産会社や独立系の家賃保証会社は信用情報を参照しませんのでブラックリストに載っていても契約は可能です。


信販系と独立系の家賃保証会社については独立系家賃保証会社と信販系家賃保証会社をご参照ください。
収入が低い、正社員ではない、外国人や障害者など不動産会社が敬遠しがちな属性の人こそ家賃保証会社を利用しましょう。家賃保証会社でも審査次第ですが、明らかに審査が緩い家賃保証会社があります。


家賃保証会社の審査については家賃保証会社の審査基準と審査必要書類をまとめてみた!が詳しいです。
そもそも、家賃保証会社の基本スタンスは「借りたい人が部屋を借りられるように支払い能力を保証すること」です。
保証人代行会社を利用することは違法でも悪いことでもありません。しかし、リスクがあるということ、そして、家賃保証会社を利用すればトラブルは防げる可能性が高いことは覚えておいてください。
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